第7節 vsリバプール(H)
試合結果
5勝1分のチェルシーがホームで開幕6連勝のリバプールを迎えたプレミアリーグの趨勢を左右する大一番。
絶好調エデン・アザールの先制点を途中出場のダニエル・スタリッジがスーパーミドルでキャンセルし、1-1のドロー決着に。
試合後の両監督の表情を見ても痛み分けというよりは双方引かずと言った試合内容で、今シーズン屈指の好ゲームになりました。
試合後に握手を交わす両監督(Getty Images)
前半主導権を握ったのはリバプール。ボール奪取後の凄まじい縦への推進力で、何度もアタッキングサードへ侵入します。しかし徐々にリバプールのハイプレスに慣れたチェルシーがペースを握り、素晴らしいパスワークからアザールが抜け出して先制。ファンは興奮を爆発させ、エデンチャントとジェラードチャントをここぞとばかりに歌いまくります。
クロップを悩ませたのはサラーのコンディション不良。フィニッシュとラストパスに精彩を欠いたエースは後半途中にシャキリに代わりピッチを去りました。
試合を通してお互いに決定機を作るもなかなかゴールが生まれません。リバプールの二度の決定機はチェルシーのCB2人がそれぞれ水際でクリア。最大のチャンスはシャキリが棒に振りました。チェルシーにはアザールに追加点のチャンスが訪れるものの、アリソンの好セーブに阻まれ実らず。ウィリアンも3度抜け出しますが、いずれもネットは揺らせません。
すると終了間際、途中出場のダニエル・スタリッジが左ハーフスペースからシュート。好セーブを見せていたケパの伸ばした手を僅かに超え、美しい軌道でネットに吸い込まれました。そしてそのまま試合は終了。最後の最後で追い付かれたチェルシーとしては「勝ち点2を失った」という見方もできますが、リバプールが押していた試合展開の中で最終的にドローは悪くない結果だと思っています。
何よりこのレベルのインテンシティの中でサッリ監督のサッカーがピッチ上で表現され、完成度で先を行くリバプールと互角に渡り合えたことに対するファンとメディアの評価は高く、開幕前に予想されたシティとリバプールの優勝争いにチェルシーが加わることを裏付けた一戦になりました。
選手評価
ケパ 7
アスピリクエタ 6.5
リュディガー 7.5
ダビド・ルイス 8.5
マルコス・アロンソ 6
カンテ 6.5
ジョルジーニョ 7
コバチッチ 7.5 → バークリー 5
ウィリアン 7 → モーゼス 5.5
ジルー 5.5 → モラタ 6
アザール 8
マウリツィオ・サッリ 6.5
MOM ダビド・ルイス
ケパ 7
足元とキック制度の高さを終始見せつけ、58分のマネの決定機ではビッグセーブでチームを救った。失点はスタリッジを褒めるべきだろう。
アスピリクエタ 6.5
最近は調子の上がらないキャプテンも今日は奮闘。実はアスピのプレス耐性は半端ないと昨季から思っていたが、今日も細かい繋ぎやクリアの判断などはほぼ完璧だった。
リュディガー 7.5
21分のサラーのシュートをカバーし失点を防ぐ。アンカーへのコースを切られても落ち着いたフィードで逃げ、ボールを失わなかった。フィルミーノとマネもかなり抑えられていただけに、理不尽な失点後の「こんなん無理やろ」的な顔には同情するしかない。
https://twitter.com/btsportfootball/status/1046103961978187778?s=21
ダビド・ルイス 8.5
ディフェンスながら今日のピッチ上ではファン・ダイクと並び圧倒的な存在感を放った。クロスへの対応、早めの潰し、ディレイ守備などの仕事をほぼ完璧にこなし、後半にはフィルミーノのヘディングを間一髪でクリア。ウィリアンへの2度の決定的なスルーパスやプレスに臆さない繋ぎなど、攻撃面での貢献も大きくサッリに起用される理由を自らのプレーで証明した。
マルコス・アロンソ 6
同サイドにサラーがいる上にフィルミーノが流れることも多く、必然的に守備に追われる時間が長くなった。自慢の攻め上がりは自重していたが、一対一でサラーやアーノルドに振り切られることも無く集中を保った。
カンテ 6.5
ピンチ時のカバーリングやインターセプトはいつも通り言うことなし。圧倒的な運動量でこぼれ玉を回収し、3人の中盤でカバーするリバプールの戦術を破壊した。奪った後の繋ぎで取り返されたりパス回しの中で詰まる場面がまだ散見されるので、プレス耐性を身に付けたい。
ジョルジーニョ 7
CSのシティ戦で「強豪相手には通用しない」とも言った他サポは息をしているのだろうか。前半20分にしてリバプールのプレスをものともしなくなったマエストロは、相手の詰めをヒラヒラといなし試合を掌握した。
コバチッチ 7.5
テンポ良いパスさばき、圧倒的なキープ力に正確なアシストと持ち味を存分に発揮。アザールが戻らない時はカバーに入っていたため疲弊したが、後半途中までは輝きを放った。
ウィリアン 7
昨季は少なかった裏への飛び出しやダイアゴナルランでチャンスを演出。守備にも奔走しロバートソンになかなか仕事をさせず。代名詞のエラシコも。
ジルー 5.5
この日はタッチ数わずか18回。仕事をさせてもらえなかったが、体を張ったプレーと献身的な守備で貢献。ジルーが悪いというよりはそれに競り勝つファンダイクが凄かったという評価をしたい。
バークリー 5
試合に入りきれず致命的なロストも。
モーゼス 5.5
かなり走っていたウィリアンに代わり守備と推進力を期待されたモーゼスだが、ビッグチャンスで落ち着けずドリブルのキレも無かった。
モラタ 6
ジルーが機能せず早めの交代となったものの、相手の守備の集中力が切れずモラタにもチャンスは無かった。スライディングまで行う守備で最低限の働きをした。
マウリツィオ・サッリ 6.5
交代選手が流れを引き寄せられず裏目に出てしまったがそれは結果論。ジルーを早めにモラタに代えた判断や、とりわけ守備で走っていた2人を運動量が担保されている選手に交代した意図は良かった。なによりここまで早い段階でリバプールと互角に渡り合うという望外の内容にはファンも満足しているだろう。
感想
やっぱり球出しできる選手が多いと強いなぁと思った試合でした。昨季は閉塞感で押し潰されそうな試合が多々ありましたが、今季は繋ぎが安心して見られます。コバチッチ、ジョルジーニョ 、ケパの獲得とルイスの復帰は本当に大きい。そして前節振るわなかったアザールも未だ絶好調となると、サッリ含めチームもそろそろリーグ優勝争いは意識し始めたはずです。もちろん過度な期待は禁物だけど希望を持たずにはいられない、そんなチームをたった2ヶ月で作ってくれたサッリの仕事は賞賛に値するでしょう。後はとにかく同等以下の相手に堅実に勝ち点を積み重ねてほしい。
リバプール戦を経て強豪相手の戦い方も示したサッリ。そのサッカーを簡単にまとめると
守備:
①ハイプレスでロングボールを蹴らせて回収。CBの強さとこぼれ球を拾うカンテの運動量が要。
②プレスをかわされたらリトリートで主に4-4-2の守備ブロックを形成。その際右WGが2ライン目に吸収される。バックパスに対しては中盤が出て行き、相手がGKまで戻したら一気に押し上げる。
攻撃:
①後ろから繋ぎ、敵を引き付けつつテンポ良くパスを回す。その際はGKも繋ぎに参加し両SBは大外まで開く。またIHと右WGが積極的に裏を狙い、そこにCBと中盤からロングボールを供給する。これにより敵の守備を広げる。
②アザールには自由を与える。彼やコバチッチ、CBがハーフスペースへ持ち上がることによって敵を集める。
①②を繰り返すことで敵のブロックに綻びを生むと同時に、内外両方をケアする必要が出てくるためCBとSBの間が開く。そこにスルーパスを供給する。
③押し込んだ時にはペナルティエリア内に張ったCFとのワンツーや囮の動きを利用して打開する。
他にも細かい約束事や攻撃パターンもありますが、よく目につくのはこんな感じでしょうか。これが通じなくなった時にどうアップデートしていくか。コンテはそれができなかっただけにサッリの手腕が試されます。
ランパード、ルイス、アケ、ルカク、デ・ブライネ、サラーそしてスタリッジ。元所属選手に決められる悪い伝統(?)はそろそろ払拭してほしいです。リーグカップでランパード率いるダービーに負けたらもう、ね…。
それはそうと、ランパード監督はチェルシー側にメイソン・マウントとフィカヨ・トモリという2人のレンタル選手の出場を打診したそうです。本来チェルシーからのレンタル選手はイングランド国内のコンペティションではチェルシー戦に出られない契約になっているはず。しかしマウントはチームの中心選手でなおかつ舞台はリーグカップということもあります。そしてあのランパードの頼みとなると恐らくフロントは断らないんじゃないかと思います。ファンとしてもマウントやトモリのプレーは見たいですし、彼らもスタンフォードブリッジでのプレーには燃えるはず。フロントが快諾することを願っています。
さて、次はELヴィデオトン戦。風邪を引いたので生観戦は無理そうですが心の中で応援します。