Blues' notes

ロンドンの青いフットボールクラブ、チェルシーの試合やニュースについて思うままに書いてます

19/20 第31節 vs Man City (H)

CHE 2-1 MCI

Pulisic 36'            De Bruyne         55'

Willian 78' 

 

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Match Review

まずは試合前の双方の状態から

 

チェルシー

勝てば3位レスターと1ポイント差

怪我人なし

 

・シティ

引き分け以下で首位リバプールの優勝が決定

アグエロストーンズなどが離脱中

 

 

次に前半の双方の狙いをシティの目線に立って見ていきましょう。

 

左サイドでは、右利きのWGスターリングがボールを晒しながら、左足の高速クロスを持つLSBメンディのオーバーラップ、MFのインナーラップ、カットインという複数の選択肢を作ります。

 

右サイドでは、左からの高速サイドチェンジやカウンターで、WGマフレズの1on1の形を作ります。こちらではRSBのウォーカーはオーバーラップをせずに、マフレズの後ろ、やや中寄りのポジショニングをとります。

これは、右足でのクロスを苦手とするマフレズに、縦突破して後ろに戻す→ウォーカーのクロス、という選択肢を持たせるため。足の速いウォーカーによるカウンター対策も兼ねています。

 

どちらのサイドでも、IHのデブライネ、ギュンドアンと、0トップのベルナルドがハーフスペースへタイミングよく走り込むので、DFは迷いながらの対応を強いられることになります。

WGの2人はこのインナーラップを囮にしたカットインが非常に上手いですからね。

 

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クソ雑に描くとこんな感じです。

 

DF側はどちらかのサイドで優位を作らせまいと選手を集めると、逆サイドに振られるか、手薄になったバイタルからミドルを打たれることになります。

 

サイドでの質的、量的優位で攻めるために出来るだけ良い形でボールをWGに供給すること、それによって空くスペースを突くのがシティの基本的なサッカーです。

後半は相手に合わせてポジショニングを変えたりしますが、大体入りはいつもこんな感じな気がします。

 

 

チェルシーがこれに対して打った策は4-5-1で真ん中を閉め、サイドでの突破に真っ向から対応するというものでした。

相手WGに対してSBが対応し、そこに味方WGが挟みにいきます。CBはハーフスペースを予め押さえながら抜かれた後のフォローの用意。IHがカットインをケア。そしてカンテが相手のMFの飛び出しに対応します。

 

非常にシンプルですが、こちらの攻撃の目処が立たないと、90分続けるのは精神的にも肉体的にも不可能です。これが出来るのは、奪った後のカウンターの成功率が高いこと、中盤の運動量が担保されていること、SBの対人守備力といった要素が必要で、下位チームでは特にカウンターが成立せずに一方的に殴られて大敗するのが定番です。

これが出来るチームはトラオレを擁し、セットプレーにも強いウルブズや、デヘアにより水際で耐え、スピードのある攻撃陣を揃えるユナイテッド、プレッシングとボール保持をシティと同レベルで行えるリバプールなどに限られます。

 

実はチェルシーがよく負けるパターンは、押し込んだ展開でのミスやカウンターによる失点。ひたすらサイドをあがってクロスを上げ続けられて決壊。ファールを貰うのが上手い選手が良い位置でのFKを狙い、セットプレーを得点源としてくるケース。

がほとんどです。なので、チェルシーは本質的にグリーリッシュのいるビラや、SBにバートランドやセドリク、CFにイングスという質の高い選手がいるセインツのような、「バスを停めてくる上に失点パターンを作られやすい下位チーム」が1番苦手なんだと思います。

逆に強豪相手の押し込まれる展開は、17-18ホームバルサ戦、昨季のホームシティ戦のように良い試合ができるので願ったり叶ったりです。

 

 

チェルシーの攻撃時には、相手のプレスをWGのワンタッチで剥がすか、出しどころがない場合には素直にジルーに当ててこぼれを拾うという割り切ったビルドアップをしていました。真ん中で取られるのを警戒し、カンテは相手のプレスの引き付け役としていなす役割をしていました。普段ジョルジーニョがやる、真ん中で受けてターンするプレーはシティ相手にリスキーだと判断したのでしょう。

 

そして

・ウィリアンとプリシッチはカウンター時に取られないで持ち運ぶのが非常に上手い

・シティのCBにはスピードがない

・ドン引きしたチェルシーを崩すためにSBを前に上げるため、裏に広大なスペースができる

・クリア→ジルーの落とし→WGへ展開という雑な流れでも成立する

という理由から最も得点が見込めたのはやはりカウンターでした。

 

このカウンターからチャンスを作ることはできても決定期に持ち込めるか否かは選手のクオリティに委ねられています。

今日の試合では1人で2回フリーのシュートシーンを作った絶好調のプリシッチと、たった1シーンですがデブライネを引き剥がしたウィリアンの活躍が、大きな役割を果たしたことが勝利に直結したと言えるでしょう。

 

 

後半、シティはジェズスを入れてからはスターリングを真ん中に置き、エデルソンの展開などによるカウンターでオープンな展開を作ってきましたが、ポストに救われたシーンやアスピリクエタの2度に渡るインターセプトが試合の流れをこちらに手繰り寄せてくれたと思います。

 

 

勝ってレスターと1ポイント差に縮められたのでチェルシーのPLでの現実的な目標は3位になり、今日のチームのパフォーマンスも良く、今後にも期待できる良い試合でした。

 

 

 

Player Raitings

Kepa 5

キックミスでピンチを招き、ロングレンジのパスも安定しなかったが、FKからフリーになったフェルナンジーニョの強烈なヘッドをストップしたのでトントン。

デブライネのFKは正直ノーチャンスだが、立ち位置はもう少し左でも良かった。

 

Azpiliqueta 7

スターリングとメンディのアイソレーションに翻弄されず、ウィリアン、カンテ、クリステンセンらと挟んで上手く対応。

後半オープンになった後は得意のインターセプトで流れを引き寄せた。

 

Christensen 8

ベルナルドが飛び出してくるスペースを埋めつつ、デュエルにも勝ちまくる大活躍。シティのプレスを受けながらパス成功率も93%と、凄まじい安定感を見せた。

メンディのシュートをブロックした際に脳震盪かと思われたが、そのままプレー続行出来たのはチームにとって大きかった。

CKからドンピシャのヘディングも、エデルソンの好セーブに遭う。初得点は遠い…。

 

Rudiger 7

アロンソとマフレズの1on1を作りにくる相手に対して、常に集中してカバーに入っていた。珍しく中のマークを外さなかった。

 

Alonso 6

前半にマフレズに手を掛けてカードをもらってしまった場面での判断ミスから、後半は強く当たりにいけなくなってしまい、何度か抜かれかけるシーンがあったものの、彼からすれば十二分の対応をしていた。

ビルドアップ時に落ち着いており、プリシッチと絡みながら上手くジルーへボールを供給した。

 

Kante 7

アンカーで守備のバランスをとりながら、1番与えたくないハーフスペースとバイタルエリアをしっかりとケアした。

デブライネを倒したシーンと、一度彼に打たれたこと以外はほぼシャットアウト。

ジョルジーニョのようにCB2人とトライアングルを作って受けるポジショニングは行っていたが、反転して前線へ付けるまではいかなかった。とはいえ危険なロストは無かったし、まだまだ成長する予感。恐ろしい。

 

Barkley 6

基本的に中を閉める守備のタスクが多かったが、カウンター時には前に飛び出してチャンスを使った。

一度加速したスピードを維持できるのが彼の魅力かなと思う。

 

Maunt 6.5

攻守にハードワークを続け、トップの走行距離を記録。ジルーの落としを拾い、デブライネからボールを奪い、カウンター時には前に飛び出す尋常じゃないスタミナだった。

エデルソンの不用意なキックを狙って奪ったシーンは素晴らしかったが、そこからシュートを選択して外したのが悔やまれる。

 

Willian 7

中断明けから好調を維持しているウィリアンだが、この試合では守備に追われることが多かった。しかし決勝点に繋がるPKは彼によって生み出された。

8月に32歳になるとは思えない体幹と推進力を見せ、デブライネのカード覚悟のファールをものともせずにタッチラインを抉った時はペップも頭を抱えた。

 

Giroud 6.5

リンクマンとしてサイドチェンジの起点になり、空中戦の弱いラポルトフェルナンジーニョと対峙して良い位置にボールを落とすことに成功していた。

 

Pulisic 8.5 (MOM)

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今日は彼の価値を証明する試合だと言える。異次元の推進力とスピードで先制点を奪うと、その後も矢のようにゴールへ向かい、チェルシーのカウンターを成立させた。

緩急でメンディを抜いての得点は圧巻で、あのウォーカーのクリアさえなければ、10点あげても良かったくらいの素晴らしいパフォーマンス。

自信が運んだり抜け出すシーン以外も、ビルドアップ時のボールの拠り所や、クロスへ飛び込む役割も120%で果たしていた。

 

Lampard 8

この試合に入る準備の段階で相手より一歩先を行っていた。カンテをアンカーに抜擢し、運動量のあるバークリー、マウントと共に並べることでシティの速いサイドチェンジにもスライドが追いついていた。

相手の使いたいスペースを尽く消していたし、CB2人のカバーの速さも恐らく指示していた故だろう。

相手SBが上がった裏をタミーに狙わせたり、コーナー付近で時間を稼ぐ指示にも良い意味で狡猾さが垣間見えた。

押し込まれる展開で送り出したギルモアとペドロのコンビでチャンスを作る名采配も。

 

控えは雑に

Abraham 5

Kovacic 5

Gilmour 6

Pedro 6

 

 

それでは。