Blues' notes

ロンドンの青いフットボールクラブ、チェルシーの試合やニュースについて思うままに書いてます

19/20 第31節 vs Man City (H)

CHE 2-1 MCI

Pulisic 36'            De Bruyne         55'

Willian 78' 

 

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Match Review

まずは試合前の双方の状態から

 

チェルシー

勝てば3位レスターと1ポイント差

怪我人なし

 

・シティ

引き分け以下で首位リバプールの優勝が決定

アグエロストーンズなどが離脱中

 

 

次に前半の双方の狙いをシティの目線に立って見ていきましょう。

 

左サイドでは、右利きのWGスターリングがボールを晒しながら、左足の高速クロスを持つLSBメンディのオーバーラップ、MFのインナーラップ、カットインという複数の選択肢を作ります。

 

右サイドでは、左からの高速サイドチェンジやカウンターで、WGマフレズの1on1の形を作ります。こちらではRSBのウォーカーはオーバーラップをせずに、マフレズの後ろ、やや中寄りのポジショニングをとります。

これは、右足でのクロスを苦手とするマフレズに、縦突破して後ろに戻す→ウォーカーのクロス、という選択肢を持たせるため。足の速いウォーカーによるカウンター対策も兼ねています。

 

どちらのサイドでも、IHのデブライネ、ギュンドアンと、0トップのベルナルドがハーフスペースへタイミングよく走り込むので、DFは迷いながらの対応を強いられることになります。

WGの2人はこのインナーラップを囮にしたカットインが非常に上手いですからね。

 

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クソ雑に描くとこんな感じです。

 

DF側はどちらかのサイドで優位を作らせまいと選手を集めると、逆サイドに振られるか、手薄になったバイタルからミドルを打たれることになります。

 

サイドでの質的、量的優位で攻めるために出来るだけ良い形でボールをWGに供給すること、それによって空くスペースを突くのがシティの基本的なサッカーです。

後半は相手に合わせてポジショニングを変えたりしますが、大体入りはいつもこんな感じな気がします。

 

 

チェルシーがこれに対して打った策は4-5-1で真ん中を閉め、サイドでの突破に真っ向から対応するというものでした。

相手WGに対してSBが対応し、そこに味方WGが挟みにいきます。CBはハーフスペースを予め押さえながら抜かれた後のフォローの用意。IHがカットインをケア。そしてカンテが相手のMFの飛び出しに対応します。

 

非常にシンプルですが、こちらの攻撃の目処が立たないと、90分続けるのは精神的にも肉体的にも不可能です。これが出来るのは、奪った後のカウンターの成功率が高いこと、中盤の運動量が担保されていること、SBの対人守備力といった要素が必要で、下位チームでは特にカウンターが成立せずに一方的に殴られて大敗するのが定番です。

これが出来るチームはトラオレを擁し、セットプレーにも強いウルブズや、デヘアにより水際で耐え、スピードのある攻撃陣を揃えるユナイテッド、プレッシングとボール保持をシティと同レベルで行えるリバプールなどに限られます。

 

実はチェルシーがよく負けるパターンは、押し込んだ展開でのミスやカウンターによる失点。ひたすらサイドをあがってクロスを上げ続けられて決壊。ファールを貰うのが上手い選手が良い位置でのFKを狙い、セットプレーを得点源としてくるケース。

がほとんどです。なので、チェルシーは本質的にグリーリッシュのいるビラや、SBにバートランドやセドリク、CFにイングスという質の高い選手がいるセインツのような、「バスを停めてくる上に失点パターンを作られやすい下位チーム」が1番苦手なんだと思います。

逆に強豪相手の押し込まれる展開は、17-18ホームバルサ戦、昨季のホームシティ戦のように良い試合ができるので願ったり叶ったりです。

 

 

チェルシーの攻撃時には、相手のプレスをWGのワンタッチで剥がすか、出しどころがない場合には素直にジルーに当ててこぼれを拾うという割り切ったビルドアップをしていました。真ん中で取られるのを警戒し、カンテは相手のプレスの引き付け役としていなす役割をしていました。普段ジョルジーニョがやる、真ん中で受けてターンするプレーはシティ相手にリスキーだと判断したのでしょう。

 

そして

・ウィリアンとプリシッチはカウンター時に取られないで持ち運ぶのが非常に上手い

・シティのCBにはスピードがない

・ドン引きしたチェルシーを崩すためにSBを前に上げるため、裏に広大なスペースができる

・クリア→ジルーの落とし→WGへ展開という雑な流れでも成立する

という理由から最も得点が見込めたのはやはりカウンターでした。

 

このカウンターからチャンスを作ることはできても決定期に持ち込めるか否かは選手のクオリティに委ねられています。

今日の試合では1人で2回フリーのシュートシーンを作った絶好調のプリシッチと、たった1シーンですがデブライネを引き剥がしたウィリアンの活躍が、大きな役割を果たしたことが勝利に直結したと言えるでしょう。

 

 

後半、シティはジェズスを入れてからはスターリングを真ん中に置き、エデルソンの展開などによるカウンターでオープンな展開を作ってきましたが、ポストに救われたシーンやアスピリクエタの2度に渡るインターセプトが試合の流れをこちらに手繰り寄せてくれたと思います。

 

 

勝ってレスターと1ポイント差に縮められたのでチェルシーのPLでの現実的な目標は3位になり、今日のチームのパフォーマンスも良く、今後にも期待できる良い試合でした。

 

 

 

Player Raitings

Kepa 5

キックミスでピンチを招き、ロングレンジのパスも安定しなかったが、FKからフリーになったフェルナンジーニョの強烈なヘッドをストップしたのでトントン。

デブライネのFKは正直ノーチャンスだが、立ち位置はもう少し左でも良かった。

 

Azpiliqueta 7

スターリングとメンディのアイソレーションに翻弄されず、ウィリアン、カンテ、クリステンセンらと挟んで上手く対応。

後半オープンになった後は得意のインターセプトで流れを引き寄せた。

 

Christensen 8

ベルナルドが飛び出してくるスペースを埋めつつ、デュエルにも勝ちまくる大活躍。シティのプレスを受けながらパス成功率も93%と、凄まじい安定感を見せた。

メンディのシュートをブロックした際に脳震盪かと思われたが、そのままプレー続行出来たのはチームにとって大きかった。

CKからドンピシャのヘディングも、エデルソンの好セーブに遭う。初得点は遠い…。

 

Rudiger 7

アロンソとマフレズの1on1を作りにくる相手に対して、常に集中してカバーに入っていた。珍しく中のマークを外さなかった。

 

Alonso 6

前半にマフレズに手を掛けてカードをもらってしまった場面での判断ミスから、後半は強く当たりにいけなくなってしまい、何度か抜かれかけるシーンがあったものの、彼からすれば十二分の対応をしていた。

ビルドアップ時に落ち着いており、プリシッチと絡みながら上手くジルーへボールを供給した。

 

Kante 7

アンカーで守備のバランスをとりながら、1番与えたくないハーフスペースとバイタルエリアをしっかりとケアした。

デブライネを倒したシーンと、一度彼に打たれたこと以外はほぼシャットアウト。

ジョルジーニョのようにCB2人とトライアングルを作って受けるポジショニングは行っていたが、反転して前線へ付けるまではいかなかった。とはいえ危険なロストは無かったし、まだまだ成長する予感。恐ろしい。

 

Barkley 6

基本的に中を閉める守備のタスクが多かったが、カウンター時には前に飛び出してチャンスを使った。

一度加速したスピードを維持できるのが彼の魅力かなと思う。

 

Maunt 6.5

攻守にハードワークを続け、トップの走行距離を記録。ジルーの落としを拾い、デブライネからボールを奪い、カウンター時には前に飛び出す尋常じゃないスタミナだった。

エデルソンの不用意なキックを狙って奪ったシーンは素晴らしかったが、そこからシュートを選択して外したのが悔やまれる。

 

Willian 7

中断明けから好調を維持しているウィリアンだが、この試合では守備に追われることが多かった。しかし決勝点に繋がるPKは彼によって生み出された。

8月に32歳になるとは思えない体幹と推進力を見せ、デブライネのカード覚悟のファールをものともせずにタッチラインを抉った時はペップも頭を抱えた。

 

Giroud 6.5

リンクマンとしてサイドチェンジの起点になり、空中戦の弱いラポルトフェルナンジーニョと対峙して良い位置にボールを落とすことに成功していた。

 

Pulisic 8.5 (MOM)

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今日は彼の価値を証明する試合だと言える。異次元の推進力とスピードで先制点を奪うと、その後も矢のようにゴールへ向かい、チェルシーのカウンターを成立させた。

緩急でメンディを抜いての得点は圧巻で、あのウォーカーのクリアさえなければ、10点あげても良かったくらいの素晴らしいパフォーマンス。

自信が運んだり抜け出すシーン以外も、ビルドアップ時のボールの拠り所や、クロスへ飛び込む役割も120%で果たしていた。

 

Lampard 8

この試合に入る準備の段階で相手より一歩先を行っていた。カンテをアンカーに抜擢し、運動量のあるバークリー、マウントと共に並べることでシティの速いサイドチェンジにもスライドが追いついていた。

相手の使いたいスペースを尽く消していたし、CB2人のカバーの速さも恐らく指示していた故だろう。

相手SBが上がった裏をタミーに狙わせたり、コーナー付近で時間を稼ぐ指示にも良い意味で狡猾さが垣間見えた。

押し込まれる展開で送り出したギルモアとペドロのコンビでチャンスを作る名采配も。

 

控えは雑に

Abraham 5

Kovacic 5

Gilmour 6

Pedro 6

 

 

それでは。

 

チェルシー用語集③

選手編。

近年所属した、地味な選手を中心に紹介していきます。

 

 

 

サロモン・カルー(06-12)

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チェルシー史上最高の控えFW。

スタメンのドログバアネルカらには及ばなかったものの、普通に上手かった。ニヤニヤした表情で飄々とプレーし、サブでもきちんと仕事をすることからファンに愛されていた。

スタジアムの得点後のコールでは、野太い声で「KALOOOUUUUUUUU」というが鉄板。今のジルーのみたいな感じ。筆者のお気に入り選手の1人です。

 

 

 

・ブラナ(08-17)

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RSBやCBとして活躍したセルビア代表ブラニスラフ・イバノビッチ

謎に得点力が高いという系譜のあるチェルシーDFの中でも彼はぶっ壊れ的存在であり、CLナポリ戦、EL決勝ベンフィカ戦などの重要な試合で決勝点を決めた。

狂犬スアレスの被害者。15年ごろに急に髪と共に衰えてしまったが、それまでは世界でもトップクラスだった。

 

 

 

・ミケル(06-17)

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チェルシーの控え筆頭として長年君臨した元ナイジェリア代表MFジョン・オビさん。

試合に出れば無難なプレーをする選手だが時折、これ誰?となるような素晴らしいフェイントやターンで客を沸かせる、もとい笑わせる。アヤックス戦のズマのドリブルをイメージしてほしい。あんな感じ。

レギュラーは掴めなかったものの常に控えを受け入れ、毎年半分くらいの試合に出場し続けた。控えの質の高さはビッグクラブにとって重要で、チームに大きく貢献した彼はサポからの評価が高い。

 

 

 

ライアン・バートランド(06-15)

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2006年のデビュー以後、2部を中心にレンタルに出されていたユース出身の元WG。現在は左SBとしてサウサンプトンでレギュラーポジションを確立している。

11-12のCLでは、準決勝のバルセロナとの激戦の末にジョン・テリーを含むスタメンの4人が出場停止となった影響で、バイエルンとの決勝戦のスタメンに名を連ねた。試合中はほぼDFとしてロッベンの対応というSランクミッションを課せられたが、結果的に73分の交代まで彼を抑えることに成功し優勝メダルを手にした。今のプレミアリーグでは数少ないCL優勝経験をもつ選手である。"Respect respect respect"

 

 

 

・ラミレス(10-16)

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正直ドンピシャ世代なので、加入するまではこっちのイメージしかなかったブラジル人MF。器用なタイプではなかったが、運動量とスピードで広い範囲をカバーする守備力と回収力、飛び出しが魅力。

そんな彼にもちゃんとブラジルの血が流れていた。加入後初ゴールとなるシティ戦、バイタルで受けると反転し、相手選手を鮮やかなフェイントで交わしてGKの逆をついた。普段は見せない踊るようなドリブルとゴール前での落ち着きは当時、ロナウジーニョを彷彿とさせた。

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11-12CL準決勝バルサ戦では0-2となった敗戦ムードの中、突如抜け出して鮮やかなループを決め、チームの士気を復活させた。これはその重みも含めてクラブでも歴代屈指のゴール。

 

*どうでもいいけどこのラミレスのゴールや、18-19ベティス戦のメッシ、いつかの香川のループみたいなゴールが凄く好きです。

 

大好きなのでゴール集貼っておきます。

https://m.youtube.com/watch?v=0lF7k1EGKZ4

 

 

香車(12-)

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ゴール後のバク転が定番の、ナイジェリア代表FWビクター・モーゼスのこと。彼がサイドに置かれた際、カットインなどせずにひたすら前に突き進む姿から、一部では将棋の駒である香車に例えられた。

ずっとローンに出されていた彼に遂に定位置を与えられ、WBとして覚醒した16-17の活躍には感慨深いものがあった。現在もコンテのインテルで活躍中。このまま送り出してあげたい。

 

 


・飲料水(17-)

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水を飲むだけで記事にされるスター選手、ダニー・ドリンクウォーターのこと。レスターで奇跡の優勝に貢献したときの輝きを失い、見た目に反して素行の悪い彼はハッキリ言って戦力外。ザッコス、ジロボジ同様パニックバイの悪い例である。

彼の記憶なんて、リバプール戦でなぜか前線への飛び出し役として決定期を作っていた所くらい。

ビラにレンタルされた今季も、試合感の無さから大戦犯に。

マリナさん、早く売却して。

 

 

 

・背中痛い(17-19)

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ユーヴェ、マドリーでそこそこ活躍し、期待されるもそれに答える活躍が全く出来なかった男。呪われた背番号9から子供の誕生日にちなんで29に変えたものの、変化なし。17-18の途中まではストーク戦のハットトリック、ユナイテッド戦の決勝点など、アスピリクエタとのホットラインを形成して活躍。この頃は彼に惚れ込んだファンも多かった。

しかし背中の痛みを訴えて離脱後は、ネイJrさんを凌ぐ勢いでピッチに転がり続けた。

ダイブが多い、不満を露骨に出す、決定期でありえない外し方をするなど、どんどんと批判が溜まり、最後はゴールを決めても喜ばないロボットと化してロンドンを去った。彼から£48mの移籍金を産んでくれたアトレティコさんには感謝しかないが、それでも£9mの赤字。

17-18の失敗は彼とバカヨコを筆頭に補強がゴミだったのが原因であり、コンテが望んだルカクをケチっていなければ…と嘆くファンも多い。

 

 

 

・カバ爺(17-)

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第2GKである元アルゼンチン代表ウィリー・カバジェロ。代表ではW杯でやらかしていたが、チェルシーではPKストップや好セーブを見せ、キャラ的にも評価が高い。

ケパがサッリに反抗した後のスパーズ戦で無失点に抑えるなど、控えGKとしては文句ない存在である。

子供が描いた自身の似顔絵をインスタにアップするなど、ファンをほっこりさせてくれる。

 

 

 

・緑(18-19)

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チェルシーの第3GKとして在籍した元イングランド代表ロブ・グリーン。公式戦出場0の彼だが、練習試合ではPKを止めるプチ活躍を披露。

1シーズンの在籍ながら、チェルシーで獲得した欧州カップ戦のタイトル数は、アーセナル、スパーズといった中堅クラブの総数を上回る正真正銘のレジェンド。

 

 

 

次回またなんかやります。

それでは。

チェルシー用語集②

今回はネタ要素の強い人物、選手等を紹介します。煽り要素も多少ありますので耐性のない方はご遠慮ください。

 

 

・飴

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株式会社明治から発売されているキャンディー。日本でチェルシーが飴と呼ばれる所以である。その名前は、Chelsea FCの本拠地のあるChelsea地区からとっている。

商品自体は「スカッチキャンディー」というスコットランド伝統の飴だが、「スコッチウィスキー」のスコッチではなく「高温で煮詰める=scorching」から来ている。

おしゃれなイメージ、響きの良さ、などからChelseaという名前にしたらしい。

ちなみにChelsea地区は日本でいう青山、白金のような感覚で、言葉の響きもそんな感じ。

 

 

 

エマ・ワトソン

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ハリーポッターで世界的に有名になったイギリスの女優。ガチ度は分からないがチェルサポらしく、ブリッジのVIP席で何度か目撃されている。

彼女という強いファンの存在を盾に、ルミ子を代表とするクレ(バルサファン)などの他サポにマウントを取ろうとする愚か者がちょくちょく見受けられる。

 

 

 

・コクラン

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アーセナルのMFフランシス・コクラン。16-17の対戦時、ドリブルで切り込んでいくアザールに後ろから飛びかかるも、彼の強靭な尻に吹っ飛ばされ宙を舞い、プレミアの歴史上でも屈指のゴールをアシストしてしまった。

そんな彼はバレンシアに移籍後、19-20に再びチェルシーの前に立ちはだかった際にはメイソン・マウントの脚首にジャッジスルーを決めこみ、負傷交代に追いやった生粋のグーナーである。

 

"Once a Gooner, always a Gooner."

 

 

 

・人類のキャプテン

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リバプールで長年活躍したMFスティーブン・ジェラードのこと。かの有名なイスタンブールの奇跡を引き寄せたレジェンドである。

しかしプレミアのタイトルには恵まれなかった。優勝するラストチャンスだった13-14シーズンの36節チェルシー戦、自陣でトラップミスし、痛恨のスリップ。これをデンバ・バに拾われて決められ、0-2で敗北したのをきっかけに優勝を逃してしまった。

チェルシーの対リバプール戦ではこれを揶揄するチャントが無限に歌われ続けるので、彼が監督になった日にはスタンフォード・ブリッジでの試合は悪夢になるであろう。

筆者は彼ほどの選手がフロントの愚行などもあり国内タイトルを取れなかったのは不運で、今クロップの元で彼がプレーしていれば…とかなり同情している。

 

 

 

・クレイグ・ポーソン

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プレミアリーグの審判。17-18の開幕、バーンリー戦の笛を吹き、ケーヒル、セスクを退場させた日からチェルサポに恨まれている。

この時、ユース出身のジェレミー・ボガが初スタメンを勝ち取ったものの、ケーヒルキャプテンの退場により早々に交代させられ、以後彼を見ることはなかった。今季のボガの成長を見るに、やはり残念な一件であったと言える。

ケーヒルの退場に関してはコントロールミスをした彼が悪いとは言え、アザールはこのくらいのファールを毎試合受けていた印象があるので、客観的に見てもイエローが妥当というのが筆者の見解である。

そもそも、退場以外にもこの試合のジャッジ規準は狂っていたので以後ポーソンは信用していない。

 

 


・女性医師

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チェルシーの元チームドクター、エヴァ・カルネイロ医師のこと。試合終盤に治療のためピッチ内に入ってプレーを止めたことをモウリーニョに批判され、次節で帯同メンバーから外された後に退団。セクハラや不当解雇などを理由に法的措置に出た。

一応和解したが、その後もなにかと話題に上がる人物。結果的に近年最悪の10位に終わるシーズンの途中でモウリーニョは解任された。女性医師とのいざこざが第二次モウ政権崩壊の引き金とも言われている。

 

 

 

・ボールボーイ

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12-13のリーグ杯スウォンジー戦で、アザールが彼にボールを渡さないボールボーイを蹴って1発退場となった件を指す。しかしこのボールボーイは事前にTwitterで意図的な時間稼ぎを予告したことが発覚し、問題になった。

それでも少年を蹴るという行為は批判されるべきであり、アザールは謝罪。リーグから重い処分が科せられることはなかった。傷つける意思はないにせよ、今後は起こらないことを祈っている。

 

 

 

エリック・ダイアー

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ダニー・ローズ、エリック・ラメラ、デレ・アリらと共に暴力団で活動する構成員。彼らが名を挙げたのは15-16シーズンの36節、構成員たちによる詰め寄り、ジャッジスルー、目潰しなどで荒れに荒れた試合である。

アザールのゴールで優勝への望みが断ち切られると、その後は乱闘に発展しカードが飛び交った。

そんな暴力団の中でもダイアーは無表情でラフプレーを連発し、カードを出されると審判に抗議するという戦闘スタイルのため、筆者は特に彼を嫌っており、後にチェルシー戦でPKを外した際は笑いを堪えることができなかった。

最近ではジョバンニ・ロ・チェルソ、パウロ・ガッサニーガ、ソン・フンミンら新たな腕自慢たちの台頭により立場が危うくなっているみたい。知らん。

 

暴力団ってなに?って方はこちらの映像をご覧ください。1分半でわかります。

https://m.youtube.com/watch?v=1Bw04Dkyy-M

 

 

 

・ク○トワ

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「ベルナベウでは人の壁が見えるけど、(規模の小さな)スタンフォード・ブリッジでは、空やスタンドの後ろのホテルを見ていたよ」

 

股、NTRサイコパスなど、散々な言われようなベルギー代表GK。チェルシーを愚弄した彼は、名前を書くことすらも憚られる。

17-18アウェーのバルサ戦で2度も股を抜かれた失態以外、パフォーマンス面で大きな不満はなかったものの、18年に唐突にマドリーに移籍した際に古巣を散々馬鹿にしたことからサポに憎まれる存在となった。

間接的にライバルに移籍した彼はアトレティにも嫌われ、スタジアム周囲のネームプレートが、昨夏に遺恨を残して移籍したグリーズマンと並ぶくらい汚されている。

また、代表でチームメイトのデブライネの彼女を寝取った事件は有名だが、なんとW杯の日本戦、最後の最後でク○トワのパスからデブライネがカウンターを始めるという歴史的瞬間が訪れた。

 

 

 

ダビド・ルイス

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アフロヘアーが特徴の元ブラジル代表CB。CL優勝メンバーでもあり、ファンからも愛されていた。

顔も性格もハンサムボーイで、好調時のプレーは素晴らしい故に、スーパーDAVIDファンという彼の熱烈なファンも存在した(過去形)。

ルイスはチェルシー加入後に一度パリへ移籍し出戻りしたのだが、パリ在籍時のチェルシー戦でゴールを決めた際にはめちゃくちゃ喜んでしまった。しかし、喜ぶつもりじゃなく、ゴール後に感情が爆発してしまったと目に涙を浮かべながら試合後に謝罪した。憎めないやつなのだ。

 

アーセナルにスパイとして派遣されてからは頻繁に失点に絡み、チェルシー戦ではしっかり退場するなど忠実に任務をこなしている。

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*またやった。

 

 

 

・コンパス

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セルビア代表MFネマニャ・マティッチのあだ名。優勝した16-17シーズンのレギュラーだったものの、後半戦でパフォーマンスを落としてからは、右足を軸に回りながら左足でしかパスを出さないスタイルが揶揄されてしまった。

しかし基本的に安定して中盤の守備、パス供給を支え、時折スーパーミドルを決めた。スパーズ戦のだけでご飯3杯は食べられそう。長身だが、あまり空中戦は競ろうとしない。

 

 

 

クラウディオ・ラニエリ

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レスター奇跡の優勝監督。降格危機のチームや監督が解任されたチームを救うために呼ばれ、シーズンの残りをそこそこ堅守で戦い抜くのが得意。

00-04にチェルシーの監督を務めて以降も、チェルシーが好きなのか、どこかで解任されて暇になると頻繁にスタンドに顔を出す。

 

 

 

・グラントさん

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アブラム・グラント元監督。07-08シーズン、リーグ2位、CL準優勝という今なら絶賛モノの成績を残しながら成績不振で解任されてしまった可哀想な人。

 

 

 

・謎黒人

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パピ・ジロボジ(上)かババ・ラーマン(下)のいずれか又は両方を指す。2015年夏に2人合わせて加入した無名の黒人コンビである。前者は1分、後者は15試合の出場に留まった。

要するに、ターゲットの獲得が難航したフロントのパニックバイ。下の写真の左に写るマイケル・エメナロが補強権限を持っていた時は、このような謎の選手補強を繰り返していた。よくわかんないけどフィジカルの強いという噂の黒人選手を移籍期限ギリギリに獲得する時、チェルサポが手放しで喜べない体になったのはこいつのせい。 

 

 

 

・マットロウ

https://twitter.com/Matt_Law_DT

イギリスの新聞Daily Telegraphの記者、Matt Law氏のこと。チェルシー関連の記事はかなり信憑性が高く、詳細な報道をするので英語がわかるならTwitterのフォロー推奨。

筆者はずっとIDの"DT"が気になっていたが最近Daily Telegraphの頭文字か、とふに落ちた。

つい最近、ティモ・ヴェルナーとチェルシーの合意を報道した際、

 

「ヴェルナーの代理人がこのジャーナリストさんにリークしてリバプールからの入札を急かしてる」

 

と根も葉もない噂を流され界隈が燃え上がった。

 

 

 

・ディマルツィオ

https://twitter.com/DiMarzio

Sky Sports Italiaの記者、Gianluca Di Marzioのこと。イタリア方面の移籍ゴシップに詳しいため、BBCや公式発表を待たずとも、「ディマルツィオに来たからほぼ確定」と言われる。

チェルシーは何かとイタリア人に縁があるので要チェック。

 

 

 

次回は過去に在籍していた選手を紹介するつもり。

それでは。

 

チェルシー用語集①

チェルサポやその周りで使われる用語を紹介。最近ファンになった人も、古参も楽しめるよう、メジャーからマニアックなとこまで。


まずはクラブの基本事項と、歴史上の重要人物を軽く紹介します。

 


チェルシーFC 

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イングランドプレミアリーグ(EPL)に所属するフットボールクラブ。本拠地は西ロンドンにあるスタンフォード・ブリッジ。チームカラーは青で、愛称はブルーズ。

1905年に創設され、2003年にアブラモビッチが買収するまでは中堅クラブだったが、以降は豊富な資金力によりスター選手を獲得。2004-05シーズンに50年ぶりのリーグ優勝で100周年を祝うと、モウリーニョアンチェロッティら名監督に引き上げられ、一躍ヨーロッパ有数のビッグクラブへと成長を遂げた。

 

2011-12シーズンに悲願のチャンピオンズリーグ(CL)初優勝。さらに20-21シーズンにもトゥヘル・マジックで2度目の制覇を達成。

現在までにプレミアリーグを5回、FA杯を8回、CLを1回、ヨーロッパリーグ(EL)を2回制している。

 

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ロンドン南西のChelsea地区は、1684年にRoyal Hospital Chelseaという退役軍人用の王立病院が建てられて以降、高級住宅街として富裕層に好まれた。アガサ・クリスティジョニー・デップマーガレット・サッチャーなどの著名人も居住。

 

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創立当初のクラブのロゴはこの病院に由来している。また、現在のエンブレムにも残っているライオンは、チェルシー地区の開発に尽力したカドガン伯爵家(Earl Cadogan)の紋章から取られたと言われている。

 

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労働者階級のスポーツとして広まったフットボールのファンにとって、このような高級地区に本拠を置くブルーズは憎き存在である。2000年代にオイルマネーで成り上がった背景もあり、国内では完全にヒール扱い(ユナイテッド、リバプールが圧倒的に人気)。

 

最近ではプレミア中にお金が行き渡り、特にシティなどが莫大な資金を投下しているため、チェルシーが批判される機会は減少傾向。それでもロンドン以外の街でチェルシーのユニを来て出歩くと確実に絡まれるくらいには嫌われている。

だが、そのヒール感が魅力でもある。

 

スタンフォード・ブリッジ

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チェルシーの本拠地。最寄り駅はFulham Broadway。1905年当時この地を買い取ったミアーズ兄弟は、フラムに売る予定だったが、破談になったのでチェルシーが創設された。収容人数は41633人とビッグクラブにしてはかなり少ない。改築案が出ているものの、周辺住民との交渉が難航し平行線。

また、プレミア屈指の煽りチャントで知られる。筆者は小学生時代、酒持ち込み禁止のファミリー席で何度も観戦したが、そこでもFワードが飛び交っていたことは未だに父親とよく話題に上る。

 

 

 

ロマン・アブラモビッチ

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油さんと呼ばれるロシアの大富豪。03年にクラブを買収した後はスター選手を大量に獲得してチームを一躍ビッグクラブに仕立て上げた。

以前はよくスタンドで観戦している姿が写されていたが、ロシアのスパイ事件から派生したビザの問題により、現在は入国できない状態が続いている。

それでもコロナ禍においては、スタジアム併設ホテルの貸し出しなどの事前活動、選手やスタッフの給料100%保証などの神対応を見せた。

最近では100億円越えの名画、ムンク「叫び」を購入し話題に。

実は彼の影響からロシアではチェルシーの人気は非常に高い。モスクワで行われた07-08のCL決勝では客のほとんどがチェルシー側だったと言われている。

 

 

 

ジョゼ・モウリーニョ

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03-04シーズンにポルトの監督として衝撃のCL優勝。翌年チェルシーの監督になると、2度に渡り監督を務めた間に3度のリーグ優勝をもたらし、黄金期を築いたカリスマ。

特筆すべきは堅守の構築で、04-05は38試合15失点。シティやリバプールがリーグの様々な記録を塗り替えた今も、この記録は破られていない。

就任会見での「I am Special One.」に始まり、アーセナルの監督、ベンゲルに対して放った「失敗のスペシャリスト」など数多くの名言を生み出している。

パーソナリティの強い彼は度々選手やフロントとの軋轢を生み、3年目に解任されるのが定番化。しかし、調子が良い時は公の場で選手を擁護し、守備と運動量を改善した選手には絶大な信頼を置くため、多くの選手と良い関係を築いていることも忘れてはならない。

 

 

 

フランク・ランパード

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2001年から14年にかけて活躍し、監督としても帰還したファンのアイドル。MFながら凄まじい得点力を持ち、クラブ歴代最多得点記録、プレミアリーグ10年連続2桁得点などの大記録を打ち立てた。

バイエルン戦の反転ループシュートや、リバプール戦の涙のPKなどが有名。ロンドン生まれの彼はとても頭が良く、発音も綺麗なのでインタビューが非常にわかりやすく、面白い。

19-20から監督を務め、若手の積極起用を進め、未来の希望・マウントにキャプテンマークを託した後にトゥヘルへバトンを引き継いだ。

愛称はランプス。筆者が初めてサンタさんにユニフォームをもらった選手で、永遠のアイドル。

Super Super Flank, Super Super Flank, Super Surer Flank, Super Flankie Lampard!!のチャントはスタンフォードブリッジで頻繁に歌われる。

 

 

 

 

ジョン・テリー

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通称JT。17歳でデビューし、長年にわたりキャプテンを務めたユースの最高傑作。04-05にはCBながらリーグの最優秀選手に選ばれ、そこから4年間はFIFPro年間最優秀選手に輝くなど、堅守と言われたチェルシーの守備の要として活躍した。彼の力でスタンフォード・ブリッジは「要塞」となる。

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2000年代の彼は正に世界一のCBだった。

 

16-17最終節サンダーランド戦で、背番号にちなんで26分にピッチを後にする際には、相手サポーター、選手からも拍手が贈られた。

長年クラブを支えた偉大なキャプテンの退団によってアブラモビッチ体制における第一章が終幕し、チェルシーは新たな時代に突入した。

 

 

 

ディディエ・ドログバ

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強靭なフィジカルと勝負強さを武器に得点を量産したアフリカの英雄。2度のプレミアの得点王に輝いた他、とにかくビッグマッチに強く、数多くのカップ戦決勝でゴールを決めた。

特に11-12のCL決勝では0-1で絶体絶命だった88分に値千金の同点弾。さらにはPK戦で最後のキッカーとしてPKを沈め、クラブを悲願のCL初優勝に導いた。

エバートン戦のボレーなど、あまりにも理不尽で笑ってしまうゴールばかりなのでプレー集も見応え抜群である。

 

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タミー・エイブラハムも彼を参考にしていると話し、同じパフォーマンスをしている。

 

 

 

ペトル・チェフ

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試合中の接触で頭部を負傷して以降、トレードマークのヘッドギアをつけて試合に臨んでいた元チェコ代表GK。リーグで1025分間連続無失点という意味のわからない記録を持っている。素晴らしい反応と読み、コーチング力があり、カシージャスブッフォンらと共に00年代のGK世界一の座を競い合った。

11-12シーズンのCLでは決勝のPKストップに代表される神懸り的なセーブでチームを救い優勝に貢献。クラブの真のレジェンドに。

晩年にはアーセナルに移籍し、キャリアの最後にEL決勝の舞台でチェルシーと対戦。引退後はチェルシーのアドバイザーに就任している。

趣味のドラマもかなりの腕前で、他言語を話せる完璧人間。

 

 

 

アシュリー・コール

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ボールコントロール、スピード、対人守備力、クロス精度など全てにおいて能力値の高い、プレミア歴代最高のLSB。無敗優勝にも貢献したアーセナルからチェルシーへの移籍時は"Cash"ley Coleと罵られたが、その決断の正しさはその後の2クラブの結果が証明した。

彼が抜けた後のLSBは常に補強ポジションになっている通り、あまりにも絶対的な存在。

全盛期はエースキラーと呼ばれ、激しいマークと対人守備により相手のWGに何も仕事をさせない試合が多かった。C・ロナウドも18年に、対戦した中で最もタフだったのはアシュリー・コールだと語っている。

 

 

 

エデン・アザール

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ミドルネームはマイケル。2012年に「CL優勝チームに移籍する」と発言した後、チェルシーに加入。以後、圧倒的なドリブルと決定力を武器にほぼ独力でチームを牽引した。ビッグマッチに強く、アンフィールドですらも彼の庭。

どんなに劣勢な試合でも、彼の魔法によってなぜか勝ち点を拾ってしまうため、戦術アザール、エデン神などと崇められた。

18-19のEL優勝を置き土産に、自身のアイドルであるジダン率いるレアル・マドリーに移籍。退団後もチェルサポは彼の怪我の動向などを逐一チェックし、寂しくなるとプレー集を見る。円満に別れた恋人のような存在だ。

 

 

 

デニス・ワイズ

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1990〜2001年にかけてチェルシーで活躍し、キャプテンを務めたMF。98-99には当時のクラブ最高位である3位でクラブ初のCL出場に導いた。

翌年、CLの舞台で当時世界最強チームACミランと対戦。その本拠地、サン・シーロで素晴らしいトラップから同点弾を決めた。

この時の活躍はチャントになり現在も頻繁に歌われるため、彼の実際のプレーを見たことのないファンでも誰もが名前は知っている偉大な存在である。

 

https://m.youtube.com/watch?v=BtZCGaIh0aI

こちらがそのゴールとチャント。

 

 

 

ルート・フリット

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1987年にバロンドールを受賞し、ミランやオランダ代表で活躍した選手。キャリア晩年の95年に加入しリベロとしてプレーした。

グレン・ホドル監督がイングランド代表監督に就任すると、プレイヤーマネージャーとしてジャンルカ・ヴィアリジャンフランコ・ゾラ、ロベルト・ディ・マテオなどをイタリア方面のコネクションで獲得。96-97には27年ぶりのFA杯のタイトルもたらした。

後のクラブのレジェンド達を引き抜いたという意味でも大きな功績を残した人物である。

 

 

 

ジャンフランコ・ゾラ

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まだ優勝候補になる前のチェルシーで最も愛された「サルデーニャの魔法使い」。魔法のような足技とPK並みに決まるFK、ノールックパスやヒールトリックなどでブリッジを沸かせた。

1997-98のCWC決勝のシュツットガルト戦、鼠蹊部を痛めており69分に途中出場した彼が、その僅か20秒後に決勝点を突き刺したのは今もなお語り継がれている。

https://m.youtube.com/watch?v=dNI6gekZ09Y&feature=youtu.be

 

サポーターからはランパード、テリーと並ぶ人気を誇る。彼の退団後、背番号25を背負った選手はおらず、実質的な、そして唯一の永久欠番となっている。

サッリ監督下では中間管理職として苦労していた。

 

 

 

・マリナ・グラノフスカイア

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チェルシーの、オーナーを除いた実質的なトップ。戦力外の選手をありえない程の高額で売却するため、マリナ様、マリナ神などと崇められるようになった売りオペのスペシャリスト。

かなりの美人で、獲得発表や契約延長時は選手とのツーショットが定番である。EL優勝後、アザールに無邪気に抱きつくのが映された以外は、ほぼ動いている姿は見られないミステリアスな存在。

なぜかイケメンばかり連れてくるため、ルカクチェンバレンは顔専で弾かれたのかと邪推してしまう(失礼)。ちなみに筆者はこれまで批判されてきた数々の移籍に関しては当時のSD、マイケル・エメナロが悪かったのでは?と思っている。

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エメナロはチェルシーのSD退任後はモナコへ。アンリ監督を招聘したものの、降格権まで順位を落として解任された。

 

 

次回はネタ編予定してます。

それでは。

第20節 vsサウサンプトン(H)

チェルシー 0 - 0 サウサンプトン

 

選手評価

ケパ 6

アスピリクエタ 6

リュディガー 5.5

ダビド・ルイス 6

アロンソ 6

カンテ 5.5

ジョルジーニョ 6

バークリー 5 → セスク 6.5

ウィリアン 5 → ロフタスチーク 6

モラタ 6

アザール 6.5

 

サッリ 6

 

MOM なし

 

感想

久しぶりの更新です。

 

5-4-1で守るサウサンプトンの堅い守備に苦しみ、停滞感が最後まで拭えない試合でしたがスコアレスドローで決着。シティとスパーズに離されアーセナルに迫られる厳しい結果となりました。

 

サウサンプトンの5バックの中でも特にCB吉田麻也とベドナレク、アザールを抑えた19歳の右SBバレリは褒められるべきですが、それでも降格圏のチームから得点を奪えないチェルシーの得点力不足はかなり深刻。引いた相手に対してポゼッション率の割にはチャンス自体が少なく、選手個人の決定力もアザール以外は高くありません。そのアザールも今日は抜け出した後のプレー精度を欠きました。

 

メンバー固定の影響から怪我人も続出しておりジルー、ウィリアン、ペドロ、コバチッチ、ハドソンオドイが離脱。酷使されているアザールジョルジーニョにも疲労の色が見え、トラップミスなどらしくないプレーが増えています。これに加えてセスクは今日の試合でイングランド通算500試合出場を達成したのを最後に退団がほぼ決まっており、1〜3月の過密日程を前に深刻な人員不足に陥ることが予想されます。

 

この試合の前にドルトムントアメリカ代表クリスティアン・プリシッチを£57mで獲得したことが発表されましたが、来夏まではドルトムントでプレーすることという契約になっており、今冬で前線の即戦力を補強することは必須事項と言えるでしょう。

 

冬の移籍市場

獲得候補に挙がっている選手は以下の通り

 

ポストプレーに優れ、サッリナポリで得点王を獲ったCF。年齢、ウエイト、プレミア未経験、ミランで得点を決められていないなど不安要素は多い。個人的には獲得に反対だったがジルーの離脱もあり、半年間のレンタルなら欲しい選手。しかしバチュアイやエイブラハムのレンタルバックも含めてCFの補強は必要ないとサッリが明言した。レンタル料は£6m

 

  • ナビル・フェキル(25)…リヨン

トップ下が本職ながら両サイドのWG、フォルス9など前線はどこでもこなすオールラウンダー。CLでシティ相手に決めており、去年のリーグアンでは怪我をするまでドリブル成功数と被ファール数でネイマールに続く2位、スタメンではないもののフランス代表でW杯優勝を果たすなど実力は申し分なし。市場に出ている中では年齢、実力共にベストの候補。推定移籍金は£70m

 

ここまで9ゴール5アシストと大活躍。9アシストのライアン・フレイザーと共にボーンマスの攻撃陣を引っ張るイングランド人CF。身長180cmとそこまで高くはないもののヘディングは強く、スピード、決定力、足元と弱点が無い。前線でタメを作れるため中堅以下には理想的な選手だが、ビッグクラブでの経験がないため推定移籍金の£60を払うのには勇気がいる。少なくとも今冬で強奪するのは厳しいだろう。

 

安心と信頼が揺らぎつつあるバルサカンテラ育ちのMF。バルサで今季リーグ戦2試合のみの出場に留まっており冬の放出候補とのこと。移籍金£15m程度ということで獲得難易度は低いものの、IHの層は厚いため来ても控えになりそう。WGの怪我が続出しているためロフタスチークをしばらく右WGで固定する可能性もあるが、それでもバークリーとコバチッチの争うIHでスタメンを取るのは難しい。彼を取るならドリンクウォーターを使って欲しいというのが個人的な意見。

 

昨季はブンデス30試合で9ゴール6アシストを記録した左利きのWG。ジャマイカ人ということで、最近サッカーを始めたボルトさんよろしく快速を活かした突破が持ち味。今期は調子を落としており、自分が見た2試合でもあまり存在感がなかった。しかし依然として人気銘柄であることに変わりはない。取ろうとしたところでリバプールバイエルンなどとの獲得競争にチェルシーが勝てるのか…。推定移籍金£50m

 

  • エルサイド・ヒサイ(24)…ナポリ

「サッリボール」を熟知したビルドアップに優れる右SB。12月上旬に報道が過熱したが、シティ戦のアスピリクエタ の好パフォーマンス後は少し落ち着いた印象。とはいえ狙っていることは間違いない。推定移籍金£20m

 

 

可能性がありそうなのはこんなところでしょうか。飛ばし記事からイスコやらアセンシオやらフンメルスやら出ておりますがそれはないでしょう。また、かねてより言われているイカルディやクリバリも冬に移籍するのは考えにくいです。サッリはCFの獲得を否定しましたが、WGが足りていない状況でアザールの0トップは難しいため、やはりCFかWGどちらかの獲得が必須でしょう。プリシッチを抑えており、若手としてオドイ、チーク、アンパドゥが控えているため今冬望まれるのは£50m級の即戦力。珍しく早く動いたフロントですので、デッドラインまで頑張って欲しいところです。

 

それでは

第13節 vsトッテナム(A)

チェルシー 1 - 3 スパーズ

ジルー  85'                       アリ 8'

                                        ケイン 16'

                                        ソン 54'

 

試合概要

代表ウィーク明けの週末、バルサアトレティコのリーガ首位決戦と並び注目の試合となったロンドンダービー。守備陣に複数の怪我人を抱えるスパーズに対しチェルシーは万全のメンバーが揃い、アウェーであることを差し引いても互角の戦いになると目されていました。

 

しかし試合が始まるとスパーズのハイプレスの前にチェルシーは何もできず、前半で2失点を喫し内容的にも圧倒されました。後半にも構図は変わらず、焦って前のめりになるチェルシーはボールロストからソン・フンミンに一人でカウンターを完結され、3-0となり試合は決しました。

 

最後に途中出場のジルーが慰めの一点を奪うもライバル相手に完敗した事実は優勝という目標が未だ遠いものであることをファンに突きつけ、サッリの手腕にも疑問の声が上がるなどチェルシーにとって苦い夜となりました。

 

スパーズのチェルシー対策はジョルジーニョに対するマークの徹底と3トップによるハイプレス。攻撃ではアロンソの裏を瞬足のソンが狙い、エリクセンの正確なセットプレーでチェルシーのマークの甘さを的確に突いてきました。中盤にはフィジカルに優れるムサ・シソコとダイアーを起用しコバチッチとジョルジーニョのフィジカル(特に当たりの弱さと瞬発力の無さ)を浮き彫りにさせました。彼らのドリブルとエリクセンのロングパスから始まるショートカウンターで幾度となく攻め込まれ、ディフェンスラインは終始ラインを下げ続けるだけでした。

 

選手評価

ケパ 5

アスピリクエタ 6

リュディガー 4.5

ダビド・ルイス 4

マルコス・アロンソ 4.5

カンテ 6.5

ジョルジーニョ 4

コバチッチ 4.5 → バークリー 5.5

ウィリアン 5 → ペドロ 5

モラタ 4.5 → ジルー 6.5

アザール 5.5

 

マウリツィオ・サッリ 4

 

MOM なし

 

ケパ 5

守備陣で唯一健闘したが、1点目と2点目どちらかは止めてほしかった。

 

アスピリクエタ 6

素早い寄せでインターセプトやトラップミスの誘発をしていた。ジルーのゴールをアシスト。

 

リュディガー 4.5

あまりにも簡単にマークを外していた。ロングフィードの精度も悪く、アザールの頭上を越えるパスが何度も。

 

ダビド・ルイス 4

戦犯と言われても仕方ない軽い守備が目立ち、特に3点目の対応は致命的だった。

 

マルコス・アロンソ 4.5

いつもの攻撃参加が見られず、逆に上がった裏を使われて失点した。

 

カンテ 6.5

新たに5年契約を結んだのはチームにとって朗報。中盤では何度もインターセプトを記録し孤軍奮闘していた。

 

ジョルジーニョ 4

完全にマーク対象になり、常にアリやソンにつかれていたことで切り替え時の守備やフィジカルの弱さが露呈。寄せられた時のパス精度は低く、そもそもほぼボールを触れなかった。ソンにぶっちぎられるなど彼の悪い面だけが出た試合だった。

 

コバチッチ 4.5

攻撃面で変化をつけられず。守備では特に出足の速いシソコやソンに何度も剥がされていた。

 

ウィリアン 5

目立ったシーンはシュートを打った一度だけ。右では中にカットインしても打てないので怖さがない。

 

モラタ 4.5

ポストプレーでは力になれず。そしてあまりにもオフサイドが多い。カウンター時の走るコースも悪かった。

 

アザール 5.5

キープ力は流石だったが、局面を打開するドリブルは鳴りを潜めた。

 

バークリー 5.5

フィジカル的な優位を活かしたドリブルなどは良かった。

 

ペドロ 5.5

ウィリアンに比べて動きは有ったが、ペナ角で持ったシーンは打ってほしかった。

 

ジルー 6.5

コンソレーションとはいえ、今季初ゴール。豪快なヘッドは気休めにはなった。

 

マウリツィオ・サッリ 4

ビルドアップも守備も完璧に対策されたが、それらは想定内だったはず。しかしHTでも何も策を講じぬまま宿敵の軍門に下ってしまった。

 

 

総評

完敗でした。特にソン・フンミンの3点目はもう笑うしかありませんでしたね。スパーズに負けた時はいつでも最悪な気分になりますが、今季はここまで無敗だっただけになおさらこたえました。

 

このままジョルジーニョのマークへの対応策と左サイドの裏のスペースのケア、ディフェンスのライン維持などの弱点を改善できないとトップ4も厳しくなりそうです。次の大一番は12月9日のシティ戦、この試合の内容と結果次第では今季もシティの独走態勢に歯止めをかけられずに屈してしまいかねません。この試合と前の数試合で浮き彫りになった弱点の改善に早急に着手することが必要です。

 

冬の補強に関してもCBとCFは明確な補強ポジションと言えるでしょう。ルイスの緩慢な守備は、如何に彼のロングフィードがハイプレスへの対抗策になるとは言え致命的です。それに変わるべきクリステンセンはELでルイスより上だと胸を張れるパフォーマンスを見せていませんし、ケーヒルは放出候補、アンパドゥも流石にシーズン通してレギュラーに置くのはまだ無理です。CFに関して、モラタは相変わらず強豪相手のポストプレーでは全く力になれませんし、雑魚狩りの安定感も無し。やはりシーズン20点が見込めるCFの獲得は今後3年を見据えるにしても必須でしょう。候補としてイカルディは間違いない選択肢ですが、レアル、バルサとの争奪戦が待っています。トリノのベロッティも能力には疑問が残り、噂に上がっているアルナウトビッチは流石に一段落ちると言わざるをえません。いずれにしても冬の補強はかなり難しそうです。

 

さて、個人的に今のチェルシーの選手を率いる上で大切な要素はコンディションの見極めだと思っています。ウィリアン、モラタ、ルイス、ロフタスチークなどの選手はパフォーマンスにムラがあり、試合開始から不調が目に見えてわかる時が多いです。逆にキレキレのウィリアンはほぼ止められません。彼らのコンディションを見極めてスタメンをいじることが凄く重要です。結果論ですが今日の試合もスタメンからジルーとペドロを出していたら攻撃がもう少し機能したかもしれません。また、中盤の選手にフィジカル自慢が多いチームが相手の時はバークリーをスタメンから使うべきでしょう。コバチッチは推進力のある選手には今日のようにカウンターでフィルターになることができません。ジョルジーニョをこのまま固定するなら、カンテが上がった時のカウンターのケアの問題も含めてバークリーがスタメンで出るべきだと思っています。とにかくサッリにはもう少し柔軟な戦術変更が求められます。

 

個人的には左で攻撃を作るなら右はペドロが良いと思います。ナポリカジェホンやシティのスターリングのように右の張った位置から中に侵入してくる動きができるのはペドロです。ウィリアンはどちらかといえば後半から出た方が局面を変えられるでしょう。

 

次のELのPAOK戦は消化試合です。完全にターンオーバーしてPLのフラム戦に備えてほしいところ。オドイやアンパドゥ、カバジェロも起用してほしいです。

 

学校が始まり、毎試合レビューするのは厳しいので今後はビッグマッチ中心にやっていきます。次はシティ戦かな。お楽しみに

第9節 vsマン・ユナイテッド(H)

試合結果

チェルシー 2 - 2 マンU

リュディガー 21'             マルシャル 55'

バークリー 96'                 マルシャル 73'

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代表ウィークが明け、開幕から不調のユナイテッドをホームに迎えたチェルシー。 ビッグ6では今一番勝ち点を取りやすい相手だけに勝ち点3が期待されました。しかし結果的にはモウリーニョ率いるユナイテッドの戦術にしてやられアディショナルタイムに追いつくのがやっと。内容としてもかなり改善点の多いものになりました。

 

ファンとしてはマタにやられ、モウリーニョにやられ、しかもいつものようなリズム感のあるパス回しも見られず非常にストレスフルな試合だったことでしょう。僕もそうでした。なので今回に関してはかなり辛辣にレビューしてます。

 

選手評価

ケパ 5.5

アスピリクエタ 6

リュディガー 6.5

ダビド・ルイス 6

アロンソ 4.5

カンテ 5.5

ジョルジーニョ 5.5

コバチッチ 6.5 → バークリー 7

ウィリアン 6 → ペドロ 6

モラタ 5 → ジルー 6.5

アザール 6

 

マウリツィオ・サッリ 5

 

MOM ロス・バークリー

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ケパ 5.5

1失点目の直前のセーブは良かったが、結果としては2失点を喫した

 

アスピリクエタ 6

寄せの速さでピンチを未然に防ぐプレーも多かったが、攻撃の面で脅威になれず。土壇場で上げたクロスは素晴らしかった。

 

リュディガー 6.5

完璧なCKから先制点を叩き込み、2点目にも関与したが、1失点目はボールウォッチャーになってしまった。

 

ダビド・ルイス 6

前節に続くモフモフスクリーンで間接的に先制点をアシスト。それ以外でも手詰まりの攻撃にアクセントをつけようとしていたが、左サイドの穴をカバーしきれなかった。

 

アロンソ 4.5

今日のパフォーマンスはおそらく今季最悪。プレーの精度然り、守備面然り。トラップミスしていなければデヘアと1対1だったシーンも。左サイドは完全にモウリーニョに狙われてしまった。

 

カンテ 5.5

印象的なボール奪取は2回くらい。惜しいミドルもあったが、パスのリズムが悪く、サイドに流れてもクロスを上げられないなど攻撃面でブレーキに。

 

ジョルジーニョ 5.5

守備面ではかなりインターセプトをしていたが、中盤とルカクにCBやIHからのパスコースを切られ、マタのマンマークでほぼ仕事ができず。オープンな展開になった終盤を除いてボールを触る機会が少なかった。

 

コバチッチ 6.5

アザールが真ん中に流れ、アロンソがヤングをピン留めした時にはいい持ち上がりを見せていたがシュートまではいけず。この日のチームの中では悪くはなかった。

 

ウィリアン 6

セットプレー以外ではほぼ印象なし。しかも最初のFK枠外だし。チャンスの少なさを懸念し、セットプレーのキッカーとして起用されていたならばその役割は果たしたと言える。

 

モラタ 5

流石に擁護できないパフォーマンス。最初の60分もジルーだったら…と思ってしまう。個人として脅威にもなれず、周りとの連携もイマイチ。パスをはたいた後の動き出しも遅い。しかも周りが見えてなさすぎてプレーの判断が悪い。戦犯とまでは言えないが攻撃が停滞した大きな要因の一人。

 

アザール 6

ヤングにマークされ、彼が出てきても裏はCBにケアされていたため自由はほぼ無し。かなりイライラしていたが、守備へかなり貢献していた。ラシュフォードをイエローで潰しに行ったシーンを見て、キャプテンマークを巻いてほしいと思った。

 

バークリー 7

90+6分での同点ゴール。コバチッチとバークリーの競争はお互いに高め合っているようで凄く良い。今日のチームの出来なら彼とリュディガー 以外にMOM候補はいない。

 

ペドロ 6

ウィリアンよりもパス出しのテンポが良く、右サイドでパスが少し回るようになった。

 

ジルー 6.5

出てきてすぐのアザールとのパス交換を、モラタにはできますか? というだけでジルーを起用する理由は十分。ペドロのクロスに惜しくも合わせられなかったが、クロスに飛び込むシーンも無かったモラタと比較したら雲泥の差。

 

マウリツィオ・サッリ 5

先制点は彼の緻密なセットプレー研究の成果。完全に意図的にリュディガーをフリーにさせた。ただ、選手起用に関してはジルー、ペドロを先発から使った方が良かったと感じた。モウリーニョの左狙いは前半からはっきりしていただけに、改善できなかったのは痛い。

 

感想

自分が監督なら…というのは誰もが考えることですが、この試合に関しては噛み合っていない歯車を最後まで直せなかった印象があるので、僭越ながら書きたいと思います。

 

ですがその前にまず前提としてユナイテッドの戦術についておさらいします。

 

ユナイテッドは4-2-3-1。チェルシーは4-3-3なので、守備に関しては4人のDFで3人のアタッカーを見ます。中盤3人で3人を見て、両SHはSBにつき、1トップのルカクがCBの2人にプレスをかけます。つまり、お互いのCBとCF以外はほぼマンマークのような形になります。

 

攻撃に関してはカウンター狙い。アロンソの裏をひたすらラシュフォードに走らせ、そこにマタが絡みルカクが中で待ちます。マルシャルはアスピとの一対一が狙いでしたが、チェルシーは左サイドが脆いので攻撃はほぼそちらからでした。

 

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(Leo the football TV https://m.youtube.com/channel/UCmsfo6_GmedEhParaNa3r9A さんから)

 

チェルシーがボールを持った時は画像のとおり、ユナイテッドはほぼマンマークになります。ここからお互いの強み、弱みが顔を出します。チェルシーのCB2人はボールを持った時にスペースがあれば持ち運べるスキルがあります。そのためルカクがどれだけ必死にプレスに行っても、他がチェルシーの選手をマンマークしている限りルイスやリュディガーがボールを運ぶことができます。特にルイスが持ち上がった後のチェルシーの左サイドではそこからコバチッチやアザールアロンソが絡むことで少しずつ敵の守備にズレが生じていきます。これがチェルシーの攻め筋でした。

 

一方で、モラタに対してはCB2人が余ります。モラタが脅威ではないためリンデレフが付き、スモーリングアザールのマークにつくヤングのフォローに力を割くことができます。そのためチェルシーの頼みの綱であるアザールは仕掛ける時に2人を相手にすることになり中々仕事ができません。

 

不快に思う人がいるのも承知で言うと、極端な例ですがモラタが例えばハリー・ケインやルイス・スアレスなら、リンデレフ1人で見るのは無理なのでスモーリングもケアすることになり、アザールに対してCBとSBの2人で対応することはできなくなります。CFが脅威になれるかどうかは他のプレーヤーに余裕を与えるためにも非常に重要になります。

 

この試合ではモラタやアザールのところでロスト→ラシュフォードに渡りカウンターという場面がとても多かったです。ラシュフォードは守備時にはアロンソについているのでスタート地点は同じです。しかし出足の速さが圧倒的に優れています。また攻撃が仕事の選手は多くの場合、攻撃→守備の切り替え よりも守備→攻撃の切り替え の方が得意なのでラシュフォードに裏を取られてしまいます。そして抜かれたアロンソのフォローがルイスというのもチェルシーの問題点です。ルイスは基本的にインターセプトやトラップ時の寄せの速さでボールを奪うCBです。いわゆる先手必勝型。スピードのある選手に加速された時の対応は並なので、ラシュフォードとの対面でかなり不利になっていました。

 

そして単純にして最大のチェルシーの弱点はクロスへの対応です。特にセカンドボールが回収できず二度、三度と連続で上げられるとボールウォッチャーやセルフジャッジによるプレーの停止が多発します。

 

1点目はまさにその形。ちなみに昨季のオールドトラフォードのゲームでもセルフジャッジからルカクに決められています。

 

これを踏まえて僕の回答は3バックです

 

アロンソを上げ、アスピを完全に下げた実質的な3バックの形にするのが適切だったと思います。

 

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右のMFにカンテを起用するなら攻撃時はこのような歪な3-4-3の形にし、3CBは左からリュディガー、ルイス、アスピという構成が良かったと思います。チェルシーに対して左SBの裏を狙うのはいわば定石になりつつあるので、モウリーニョがそこを突いてこないはずはない。試合前からこの形にし1番ディフェンス能力の高いリュディガーに左を任せるのがベストなはずです。アスピリクエタを下げておくことで右に関してはマルシャルに裏を取られることはないでしょう。彼は動き出しやポジショニングは並で空中戦もないので一対一ならアスピは完封できるはずです。

 

また、攻撃に関しても左右ののCBから縦パスを入れやすくなり、アスピのアーリークロスも活かせるようになります。それを考えても考えずとも、CFにはジルーを起用すべきでしょう。CBの枚数が増えたことでジョルジーニョが少し前でプレーすることができ、ジルーの落としを受けるくらいまでポジションを上げられます。これにより攻撃面も改善が見込めます。

 

これがこの試合で3バックを採用すべきだった理由です。

 

しかしサッリが突然3バックを使うのは考えにくいので、現実的には後半からカンテとウィリアンをセスクとペドロに変えるのが最適解だったと思います。ペドロは運動量があり守備もできますし、何より裏を狙う動き出しの回数が多いのが強みです。ジョルジーニョがマークされてボールの循環役がいない状態で、カンテがボールを持ってもできることは多くありません。セスクを起用することによりある程度ボールが回り、なおかつサイドチェンジや裏へのボール供給が増えることで相手の守備に綻びを生むことができたのではないでしょうか。

 

16/17に優勝したコンテの3-4-3に最初に解を提示したのはおそらくモウリーニョでした。(その前にスパーズに完敗したが、それはWBの質の差で圧倒するというもので他チームには実践不可能だった。) その解とはエレーラによるアザールマンマーク。その試合でエレーラはその仕事をこなしつつ1G1Aと大活躍しました。この試合のマタと重なりますよね。

 

僕はこの試合、完全にモウリーニョにやられたと思いました。そして放出候補だったマルシャルが2ゴール。ウイングからコンバートされたヤングがアザールを完封。モウリーニョは終わった監督だ、解任すべきだという声が多いですが自分はまだまだ彼は一流の監督だと思っています。

 

ユナイテッドファンかよという声が聞こえてきそうですが、今日の采配はサッリの脆さが見えたと思ったので書きました。4-3-3、メンバー固定で左主攻、それ一辺倒のサッカーで優勝できるほどプレミアは甘くありません。優勝してなお3-5-2を取り入れたコンテ、3バックと4バックの併用で圧勝したペップがそれを物語っているのではないでしょうか。

 

サッリの描くサッカーは美しく、守備が改善されれば強さも併せ持つでしょう。しかし柔軟さ、戦術の幅は明らかな課題です。現地のファンが「まだ優勝を考えるのは早い」と言っていましたが、その通りでしょう。これからどれだけ引き出しを増やせるか、長期政権に向けても重要になってくるはずです。

 

 

 

ただ、純粋なファンとして、負けなくてよかった。最後まで諦めなかったルイス、リュディガー 、バークリーまじでありがとう。それだけは言いたいと思います。